インタビュー働く人インタビュー
パートとして働き始めた経緯
結婚、出産を経て地元で求職活動
私は就職氷河期世代ですが、当時こうした世代であることを特別意識して就職活動をした記憶はありません。正直何も考えずに高校卒業後、県外へ就職しましたが、やはり地元秋田に帰りたいと思い、横手市で事務の仕事に就きました。結婚を機に湯沢市に住み、出産のため同社を退職しました。子供が1歳になる頃までは専業主婦をやっていたのですが、子供も小さかったので通勤が可能な地元でパートとして働きたいと思い、湯沢のハローワークで仕事を探しました。その際、たまたま両関酒造の製造部門でのパート事務職の募集を見つけて応募し、2015年からここで働き始めました。
酒造りに出会う

酒造りに出会い、正社員としての登用を経て女性初の製造責任者となる
パートとして働き始めた当初は、製造部門の事務担当として主に酒税関係や酒造データのとりまとめなどの事務を中心に仕事をしました。その後、「正社員として働かないか」との声がけをいただき、家族とも相談し正社員として働くようになりました。
こうした中で酒造りに関わる機会がさらに増え、もともと体を動かすことが好きだったこともあり、微生物を扱う仕事への興味や愛着が湧くのを強く感じ、蔵の先輩方の指導を始め、他の蔵元や研究機関の方々の指導を受け、自分で勉強するなどして経験を重ねました。
その後、2021年には前任の杜氏の退職もあり、会社で初となる女性の製造課長に任ぜられ、以降は製造責任者として蔵人たちとともに同社の酒造りを担っています。
仕事にやりがいと責任を感じる
正社員となったことに伴い生活面の安定が図られるとともに、酒造りとの関りが深まるにつれて仕事へのやりがいを強く感じるようになりました。
現在は製造課長となったことで、当然のことながら責任も格段に増しプレッシャーは感じていますが、製造部門の責任者として現場をまとめ、他の部署とのコミュニケーションの改善に努めるなど、全社一丸となって飲んだ方に喜んでいただけるお酒造りに取り組むことで、家族の協力をえながら充実した毎日を送っています。
酒造りへの思い

伝統を守りながら新たな酒造りに挑戦
わが蔵は、昨年創業150周年を迎えました。この間、代々この地で先人の経験や技術を受け継ぎながら酒造りを続けてきました。こうした伝統の味を継承しつつ、女性製造責任者としての感性や新しい技術も取り入れながら現場をまとめ、品質に拘り広く若者や女性にも受け入れられる商品をラインアップするなど、新たな酒造りに挑戦しています。
チームワーク重視で人材を育成し、時代に合った酒造りを模索
お酒については、子育てと同じように愛情や愛着を持って接しています。お酒を出荷するまではいつも心配ですし、やっぱり飲んだ方から「今年の酒はおいしい」と言ってもらった時が一番嬉しく“この仕事に就いて良かった”と感じ、それがモチベーションに繋がっています。
ただ、お酒は“絶対一人では造れない”ので、円滑なコミュニケーションによるチームワークが一番大事だと考えます。
現在の製造部は11人のうち半数が20歳から30歳代の若い年代で、若手が中心になった新たな体制に移行しています。酒造りについてさらに経験を積んで、知識や技術を高め、チームをまとめてベストな指示を出すことを心がけています。
今後も現場で人材を育てながら、若い世代が長く続けられるような職場環境づくりに取り組み、消費者に受け入れられる時代に合った質の高い酒造りの手法の模索を続けたいと思っています。
企業へのインタビューは、
こちらをご覧ください。
「両関酒造株式会社」
非正規雇用から正社員になって活躍している
氷河期世代へインタビュー
両関酒造株式会社
山内 めぐみさん
山内めぐみさんは、1984年生まれ、秋田県横手市出身です。 高校卒業後、県外へ就職したが地元に戻り、横手市の会社に勤務しました。
その後、結婚・出産により同社を退職し、湯沢市で育児をしておりましたが、2015年に両関酒造株式会社に入社しました。 入社時はパート社員(非正規雇用)としての採用でしたが、その後正社員となり、現在は女性としては同社初の醸造責任者にあたる製造課長として主に“もろみ管理”を担うなど、製造部門を統括しています。